はじめに
前回の記事ではゲームUIにおける「機能」と「装飾」という2つの役割を紹介しました💡
今回はそのうちの「機能としての役割」の中の、「認知」という観点をさらに深ぼっていきましょう!

認知とは
「認知」とは、ユーザーが状況を迷わず理解できる状態を作り、ストレスなく次の行動へ進んでもらうために必要な役割です。
画面の中で 「これってどういう意味?」「何をすればいいんだろう」と分からなくなる瞬間 が積み重なっていくと、ユーザーはゲームに対しての、小さなストレスが積み重なり、最終的に離脱に繋がってしまうこともあります。
そんなゲーム体験において重要になる「認知」をしやすくさせるための観点は3つあります!
1.状況把握
2.優先度提示
3.予測可能性
1.状況把握
認知をしやすくさせるための観点の1つ目は「状況把握」です。
何事も、自分が「いまどんな状況にいるのか」を理解できなければ、次の行動を選ぶことはできません。
UIも同じで、ユーザーが画面上の状況を正しく把握できていることが、迷わず操作を進めるための前提になります。
- 位置
- ゲーム全体の機能のどこに位置しているかを把握できていること
- 行動状態
- 起こした行動の結果が正しく把握できること
- システム状態
- ゲーム側がいま何をしているか明示されていること
この3つが正しく伝わっていると、ユーザーは不安や迷いを感じることなく、スムーズに次の操作へ進むことができます。
位置(どこにいる?)
まずユーザーが迷わず操作を進めるためには、 「自分はいまアプリ全体のどの位置にいるのか」を理解できることが欠かせません。
ゲームにはホーム、強化画面、カード一覧、購入確認──といった複雑な階層構造が存在します。

人間の 一時記憶(短期的に保持できる情報容量)には限界 があるため、この複雑な構造を、ユーザーが都度「頭の中だけで把握する」ことは困難です。
「今どの画面にいるのか」を UI が示してくれないと迷いが生まれ、操作のテンポが止まりストレスにつながります。
そのため、具体的に以下のような迷った時に見返せる、視覚的に分かりやすい工夫が効果的です。
機能名を明確に配置する
ユーザーがふと 「今どこの画面にいるんだろう?」 と感じたときに、すぐに確認できる場所に現在地を示しておくことが大切です。
ただし、常に目立たせたい情報ではないため、必要なときに気付ける程度の装飾や配置にしましょう。

画面上部に機能名や階層を示すタイトルを置く

ポップアップにタイトルを入れる
いつでも戻れるボタンを置く
さらに+αの要素として重要なのが、一時的に迷ってしまったとしても すぐに戻れる“退避先” を設置してあげることです。これらの導線があるだけで、ユーザーは「迷っても大丈夫」と感じられ、深い階層の画面にも安心して進んでいけます。

前の画面へ確実に戻れる「戻るボタン」

どこからでも現在地をリセットできる「ホームボタン」
行動状態(何をしている?)
次に重要なのは、ユーザーが 「自分はいま何の操作をしているのか」 を理解できることです。
ゲームでは、カード選択、並び替え、強化、編成など、操作の“目的”が頻繁に切り替わります。この切り替えをUI側で正しく可視化しておくことが、操作ミスを防ぎ、判断をスムーズにするための鍵になります。
選択中の対象を明示する
ゲームでは「複数の中から対象を選ぶ」操作が非常に多く存在します。
たとえば、選択しているカードや選択しているタブが一目で分かるように、以下のような工夫が必要です。

選択中のカードに明確なハイライトや枠線をつける

選択中のタブの色を変えて目立たせる
行動の結果をフィードバックする
ユーザーの操作に対して「結果が返ってくること」も行動状態の一部です。
結果のフィードバックは、ユーザーが「自分の行動がどう処理されたか」を視覚的に理解するための重要な手がかりです。
これが曖昧だと、「押せているのか、押せていないのか分からない」「反応がないからバグかも?」といった誤解を招いてしまいます。

フィルター、並び替えを設定していることが分かる

強化出来ない場合、トーストで出来ない理由が出る
システム状態(どういう状況?)
最後に必要なのは、システム側の状態をユーザーに正しく伝えることです。
システム状態とは、ユーザーの操作とは関係なく、“ゲーム側が今どういう状況にあるのか” を示す情報のことです。
通信中やロード中、クールタイム中など、ユーザーが操作しても反応しない理由がシステム側だった場合、それが見えないままでは「押しても動かない=バグなのでは?」という不安につながるため、UIは必ずこの状態変化を可視化する必要があります。

今どのくらい進んでいるか分かる

ボタンの状態によってデザインを変える
2.優先度提示
認知をしやすくさせるための観点の2つ目は「優先度提示」です。
情報や操作の“重要さ”に応じて、視線の流れや注目ポイントを意図的につくることを指します。
画面にはさまざまな情報やボタンが並びますが、ユーザーがすべてを同じように認識できるわけではありません。そのため UI には、「いま注目すべき場所」や「次に取るべき行動」 を自然に伝える役割があります。
ここでいう 「優先度提示」には、2つの目的があります。
- 理解
- 迷わないため
- 誘導
- 気づいてもらうため
理解(迷わないため)
ユーザーがその画面にまだ慣れていない場合、「この画面では何をすればいいのか?」「目的を達成するにはどのボタンを押せばいいのか?」といった判断が難しく、迷いが生まれてしまいます。
こうした迷いはストレスにつながり、ゲーム体験のテンポを大きく損ねてしまうこともあります。
そのため UI には、“どの情報を優先して見ればよいのか”“何をすれば良いのか”を自然に理解できるように示す役割があります。

リザルト画面の「次に進むボタン」が強調されている

強化画面の「強化ボタン」が迷わずみつかる
誘導(気づいてもらうため)
ゲームには、ユーザーに 気づいてほしい情報 や 積極的に触ってほしい機能 がいくつも存在します。
たとえば、ガチャボタンや期間限定イベント、メインの遊び(インゲーム)に入るためのボタンなどは、
そのゲームが「ここを中心に遊んでほしい」という考え方が反映された重要な導線です。
こうした運営側の意図をユーザーに自然に伝えるためにも、どの情報やボタンを目立たせ、どれを控えめにするかという“優先度づけ”がとても重要になります。

バッチで強調させる

インゲーム開始ボタンを目立たせる
3.予測可能性
認知をしやすくさせるための観点の3つ目は「予測可能性」です。
予測可能性とは、ユーザーが「このボタンを押したらこうなるだろう」「この動きの次はこう進むだろう」と、次に起こることを自然に想像できることを指します。
ユーザーは日々スマートフォンを触る中で、 「このボタンを押したらこうなるはず」というメンタルモデル(頭の中の期待や知識)を持っています。
我々デザイナーはユーザーの持つメンタルモデルを把握し、ユーザーの期待通りに設計することで分かりやすいUIを生み出すことが出来ます。

よくあるルール
人はアプリ・ゲーム体験から色や配置、形のメンタルモデルを持っています。
たとえば、緑=肯定、赤=否定といったように、多くのサービスに共通して使われてきたために“守るべき基本ルール”のような認識が形成されています。
ゲームUIでは世界観や個性を出すこともとても大切ですが、このメンタルモデルから大きく外れてしまうと、ユーザーが迷ったり、意図しない操作につながるなど、ストレスの原因になることがあります。
そのため、使いやすさの観点では、こうした共通の期待値に沿って設計しておくと、ユーザーにとって扱いやすく、安全なUIになります。

緑は肯定、赤は否定

インゲーム開始ボタンを目立たせる
ゲーム固有の要素
ゲームでは世界観に合わせて、そのゲームならではの固有名称や独自の表現が使われることが多くあります。
しかし、これらのオリジナル要素は、ユーザーが普段のアプリ体験で身につけてきたメンタルモデル(一般的な期待値)から外れやすい という特徴があります。
たとえば、「強化」を「レッスン」と呼んだり、「イベント」を「任務」と呼んだり、「ガチャ」を「召喚」と表現したり…
こうした固有名称は世界観づくりには有効ですが、ユーザーは言葉だけではすぐに意味を理解できないことがあります。
そういう場合は、チュートリアルでどういう機能なのか伝えたり、アイコンなどで補足したりする必要があります。
いわゆるゲームUIあるあるを踏襲しすぎると「分かりやすい」けれど個性のないゲームになってしまう可能性もあります
このポイントについては追々「UIデザイン 「装飾」としての役割」で解説していきますので、お楽しみに!
まとめ
- ゲームUIにおける「機能」としての役割の中の1つの要素として「認知」がある
- 「認知」をしやすくさせるための観点は「状況把握」「優先度提示」「予測可能性」の3つがある
- 「認知」しやすいUIは、ユーザーが迷わずにゲームを進める手助けとなり、不要なストレスを減らせることができる
ここまでご覧いただきありがとうございました✨
次の記事では「機能」としてのデザインの「操作性」を説明していきます!
また、今回の「認知」はアニメーションも込で設計することが不可欠です!ぜひこちらの記事もチェックしてください◎

