「なぜ動かすのか?」から始める
モーション設計の最初の一歩は「どう動かすか」ではなく「なぜ動かすか」を定義することです。UIアニメーションは派手さよりも、動きがユーザーに何を伝えるかが本質です。
目的の整理(UIアニメーションの5つの役割)
以下のいずれに該当するかを決めてから設計すると、過剰な演出を避けられます。
動かすための準備
画面内の情報を「構造単位」で整理してから、動きを設計します。
- グループ化:どのUIをひとまとまりとして扱うか
- 優先順位:どの順番で視線を誘導したいか
- 主役の決定:最も目立たせたい要素はどれか
1.UIをグループごとに分ける
複数エリアを持つ画面では、要素単位ではなく「エリア単位」でグループ化します。
これにより無駄な動きが減り、統一感が出ます。
例
フッター
ヘッダー
メニュー
コンテンツ


2.情報の優先順位を知る
すべてを同時に動かすと視線が分散し、重要度が伝わりません。
出現順・速度・量を設計して、視線を一方向に流します。
◆ 設計の考え方とコツ
- 画面構造を“ブロック”として捉える
UIをパーツ単位ではなく「構造単位(ブロック)」で考えることで、
アニメーションの方向性・速度・量を整理できる。 - 各グループの“出入り方向”を固定する
ヘッダー=上、フッター=下、左右サイド=横、というように、
画面設計上のルールを決めておくと統一感が生まれる。 - 段階的出現を設計する
全グループを同時に動かすのではなく、例:ヘッダー → サイド → フッター のように段階的な出現順をつけると、
視線を誘導することができます。
最後に動いた箇所に人の視線は惹きつけられるようになっています。
ただし、優先順位を意識しすぎて全体のアニメーションが遅くなってしまったり、統一感が崩れてしまうことも考慮し、バランスを見つつアニメーションをつけていきます。

上から下に向かって視線が流れるように調整

全体の優先順位がほぼ変わらない場合
3.一番目立たせたい場所を決める
主役の定義を先に行い、その他は控えめに(「動」と「静」のコントラスト)。
- ユーザーが最初に操作する場所はどこか?
「次へ」「スタート」など、明確な行動ボタンが中心にある場合はそこを主役に。 - 情報的・感情的な“主役”はどこか?
画面の目的が「報酬」「キャラ」「インゲーム」のいずれかに合わせてフォーカスを切り替える。 - 動かす要素を限定する
一番目立たせたい場所が決まったら、他のUIは控えめにする。(=「動」と「静」のバランス)

キャラクターが大事な時は画面中央に目が行きやすくなるようにUIに目が行きすぎないようにする

右下のメインボタンにエフェクトなどを加えて目がいくようにする
動かし方のパターン
以下の基本パターンを組み合わせるだけで、多くのUIは設計できます。各項目は「いつ使うか」「何に注意するか」を明記します。
- スライドイン
位置移動で、視線を惹きつけます。
フェードインと組み合わせることで、移動の動きをマイルドにすることができます。 - ポップアップ
拡大縮小の動きで、その場から出現させます。
最初のスケールを0%からスタートするなどで、大きい動きをさせるとポップな印象を与え、60%からスタートすると落ち着いた印象を与えます。 - 明滅
注目させたい時に使用します。
連続点滅は疲労・アクセシビリティの懸念、1–2回で止めるのが一般的です。 - ディレイ
動きを遅らせた時に視線を流れるように誘導させることができます。
総所要時間が長くなりすぎないようチェックする必要があります。 - 色彩変化
少し変わった見せ方をしたい時、目立たせたい時、リッチ感を出したい時の演出として使用します。
何度も見る場面では目への負荷が高くなるので、使用する場所は要検討したいです。 - フェードイン
あまり目立たせたくない時に使用します。 - グリッチ(変形)
世界観の演出で、電子機器表現やSF系で使われることがあります。
また、UIを変形で紙の表現や波の表現など、さまざまな表現ができます。 - パーティクル
世界観の演出で、ファンタジーの表現で使われることがあります。
特別なボタンのみに使用して目立たせることもできます。 - マスク
マスク移動による視線の誘導と注目をさせることができます。
| スライド | ポップアップ | 明滅 |
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| ディレイ | 色彩変化 | フェードイン |
![]() | ![]() | ![]() |
| グリッチ(変形) | パーティクル | マスク |
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これらの動きを組み合わせることで、目的の場所に視線を誘導し、ゲーム自体の快適性と世界観を作ることができます。
上記以外にも動きの例はまだあるので、ベースを押さえたあとは様々な動かし方を研究してみるのも良いでしょう。
- 残像
移動した時に追従する残像を出します。 - ブラー
移動に伴った時のボケかんを出します。 - 立体
移動する時に移動距離を複数のUIで変えることで、手前と奥を感じられるようにします。 - 発光
出現時に白く光って出すことで、目立たせることができます。
まとめ
動きは「目的→構造整理→目立たせたいUIの選定→動きの検討」の順で設計すると、動きを作るときに迷いが減ります。
過剰な演出を避けつつ、視線誘導と世界観表現を両立させましょう。









