
前回は「フィードバック(反応)」「 ナビゲーション(案内)」「 状態変化の可視化」について解説をしました。
今回はその続きとして、「演出・感情変化」と「演出・体験強化」について詳しく見ていきます。
4. 演出・感情変化
UIアニメーションのゲームならではの目的が「感情を動かす」ことです。
感情を動かす演出やアニメーションは、ユーザーにエンタメ体験を提供する重要な要素です。
「感情を動かす」ことについてを、4つの感情に分けてUI演出とどう繋がるのか解説していきます。
- 期待と喜び(達成感)
- 驚き
- 悲しみ(喪失感)
- 緊張と解放
期待と喜び(達成感)
「期待と喜び」は、育成や進行の「成果」を確かなものに感じさせることや、努力したことや成功したことに対しての結果が報われたと感じさせ、ゲームに対するやりがいや目標を視覚的に伝えることができます。
この演出により、次の行動への動機付けが生まれ、繰り返しプレイを支える“ワクワク感”を作り出します。
演出の例
ガチャ演出で豪華なエフェクトと共にキャラ登場
キャラクターのLvMax時の演出
驚き
「驚き」は突然の変化、隠し要素の出現、ランダム性などを入れ、ユーザーの予期しないことが起きることで何も変化のなかった感情に対して一気に変化をつけることで、ワクワクやハラハラを演出することができます。
同じようなことの繰り返しになっている場合は、マンネリを打破し、瞬間的な注目を集め、記憶に残る体験を作ることができます。
演出の例
普段と違うキャラアップとセリフが入った後にキャラ登場
悲しみ(喪失感)
「悲しみ」は感情のコントラストを作ることで、ポジティブな演出を引き立てる効果や、失敗したことは強く印象をつけすぎるとアプリゲームでは離脱に繋がることもあるため、伝え方の強弱を調整することが重要になります。
演出の例
クエスト失敗時のゲームオーバー演出
緊張と解放
「緊張と解放」は、不安を煽る演出を入れてユーザーに適度なストレスを与えた後、その状態を解消することで演出の「山場」を作り、プレイ中の集中度を高め、演出にメリハリを生み出すことができます。
演出の例
HPの状態による緊張感と安心感
5. 演出・体験強化
UIは単なる情報パネルではなく、「その世界に存在している道具」でもあるため、UIアニメーションや演出を世界観にあった動きにすることで、プレイヤーを没入させやすくなります。
例えば、本の中にUIが表示されている場合は、次の画面へ遷移するときに本が捲れるような動きを入れることで、世界観への没入感を高めることができます。
演出の例
・UIが空間に投影され、カメラの動きに合わせてアニメーション
・UI自体がゲーム世界の一部として表現される
UIとアニメーションで“ゲーム内の世界”を表現しますが、UIのみを動かすだけでなく、背景やキャラクター、カメラ、オブジェクトなどの表現にUIアニメーションも合わせるため、表現する難易度が高くなります。
特に、次のUIを表示するときに画面の切り替えにシームレスな動きを入れる場合、開発段階の構成をエンジニアと考えて制作していく必要があります。
UI以外の“動き”が持つ意味
UIだけでなく、背景やキャラクターの小さな動きも含めて「画面全体のアニメーション」は非常に重要です。
動きのない画面を表示し続けると、フリーズしているように感じてしまい、ユーザーに不必要な不安を与えてしまいます。
画面にはちょっとでも動きを入れておくことで不安を防ぐことができます。
他にも、世界観を強化するために、パーティクルを漂わせたり、光の差し込みを入れることで画面全体をリッチに見せることができます。
止まった画面に見せない工夫としての例
- ホーム画面で風が流れている
- 下から光の粒子や、埃などを流す
- 背景で光がゆっくりと動いている
- ボタンや各UIに光の線が走る
まとめ
UIアニメーションには、さまざまな役割があります。
「フィードバック(反応)」で操作の安心感を与え、
「ナビゲーション(案内)」で迷わない導線を作り、
「状態変化の可視化」でシステムの動きを理解しやすくします。
さらに「演出・感情変化」によってプレイヤーの感情を動かし、
「演出・体験強化」で世界観への没入とゲーム体験の質を高めることができます。
これら5つの要素はそれぞれ独立しているようで、実際には密接に関わり合いながら、
プレイヤーの操作・感情・体験を一体化する“UIアニメーションの設計思想”を形づくっています。
UIアニメーションを作るときは、「見た目を動かす」ことが目的ではなく、なぜその動きが必要なのか、どんな感情や行動を導きたいのかを意識することが大切です。
その意識こそが、プレイヤーにとって心地よく、印象に残るゲーム体験を生み出す第一歩になります。
